この記事の監修者
田中 健一(エネルギーコンサルタント/元大手電力勤務)
資格:電気主任技術者・エネルギー管理士
法人・個人向けに電気料金削減や再エネ導入を支援。信頼できるエネルギー情報を発信しています。

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田中 健一(エネルギーコンサルタント/元大手電力勤務)
資格:電気主任技術者・エネルギー管理士
法人・個人向けに電気料金削減や再エネ導入を支援。信頼できるエネルギー情報を発信しています。
地球温暖化が深刻化するなか、脱炭素社会の実現に向けて多方面で技術革新が進められています。その中でも「CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)」技術は、CO₂の排出量を直接的に減少させる切り札として世界中で注目を集めています。
化石燃料依存からの脱却が容易でない現状において、排出された二酸化炭素を「どう処理するか」は避けて通れない課題です。
ここでは、CCUS技術の仕組みや可能性を整理しながら、その実用化に向けた動向や課題について解説していきます。単なる温室効果ガスの削減策にとどまらず、資源循環の中核を担う技術としての展望も示されつつあります。本記事を通じて、CCUSの役割や未来像を考える一助となれば幸いです。
CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)はCO₂を回収・貯留・利用する技術で、温暖化対策の切り札とされます。火力発電所や製鉄所など削減困難な産業からのCO₂を直接処理でき、循環型社会や新産業創出の基盤にもなります。世界各国で導入が進む一方、コスト・安全性・社会受容が課題。日本は独自の高効率技術とCO₂利用研究に強みがあり、政策支援と社会理解が普及の鍵を握ります。
編集担当(法人向け記事)CCUSは温室効果ガス削減の「最後の一手」として現実的な解
CCUSとは「Carbon Capture, Utilization and Storage」の略で、日本語では「二酸化炭素の回収・利用・貯留」と呼ばれます。排出されたCO₂を大気中にそのまま放出せず、まずは分離・回収し、それを地下深部へ隔離したり、化学的に利用可能な形へ転換したりするのが基本的なプロセスです。
従来の排出削減策と比べ、排出源そのものをゼロにできない産業分野においても活用できる点が大きな特徴です。
この仕組みは、火力発電所、製鉄所、セメント工場など産業型の大規模排出元からのCO₂対策に適用されやすいといわれています。特に、代替のエネルギー源や製造方法への完全シフトには時間がかかるため、その間の過渡的措置としても重要な意味を持ちます。排出量削減の「最後の一手」としての期待度が高まっています。
さらに、CCUS技術は単に二酸化炭素を減らすための手法ではなく、持続可能な社会づくりに欠かせない技術群でもあります。システムが成熟すれば、「排出」から「循環」へとパラダイムを移行させ、温暖化防止だけでなく新産業創出にもつながる可能性を持っています。
編集担当(法人向け記事)自社の産業排出量を把握し、CCUS適用の可能性を検討すべき。
編集担当(法人向け記事)回収技術は進歩中だが、コスト課題が導入拡大の壁。
CO₂を分離・回収する方法としては、化学吸収法、物理吸収法、膜分離法などが代表的です。化学吸収法では、アミンなどの吸収液を使い排ガス中のCO₂を選択的に取り込みます。
一方、膜分離法は特殊な膜素材を用いて分子サイズや透過特性の違いを利用し、高効率にCO₂を通過させる仕組みです。これらはエネルギー消費やコストの観点から改良が続けられています。
近年では、AIや機械学習を取り入れてプロセス全体を最適化する試みも増えています。リアルタイムでプラントの運転状況を解析し、回収効率を最大化しながらエネルギーコストを削減するアプローチは実証段階に入っています。
また、新しい触媒や低温高効率の吸収材の開発も進み、従来よりも実用性の高いシステムが構築されつつあります。
一方で、コスト削減は依然大きな課題です。特に大規模商業化のためには、従来技術の限界を超える革新的なアプローチが求められています。そのため、大学や研究機関、企業の共同研究が活発化しており、今後の技術ブレイクスルーが注目されています。
編集担当(法人向け記事)先行技術や共同研究への参画で、将来の競争力を確保する。
編集担当(法人向け記事)安全性・経済性・社会受容の3点が普及の成否を決める。
CO₂を貯留する手法としては、主に地下の帯水層や枯渇した油田・ガス田などの地質構造が利用されます。これらは長期的に密閉が可能とされる環境であり、数千年にわたって安全に封じ込めることが期待されています。
ただし、地震など外的要因による漏洩リスクの評価は常に行われる必要があります。
一方、利用(U:Utilization)の側面では、回収したCO₂を化学製品や燃料原料として活用する試みが進められています。例えば、メタノールや合成燃料への変換によるエネルギー循環や、プラスチック原料への利用などが検討されています。
これにより、単なる貯留ではなく「資源化」という付加価値を伴うアプローチが現実味を増しています。
実用化の鍵になるのは、経済性と社会受容性です。技術的には可能でも、コストが高すぎたり安全性に関する住民の不安が解消できなければ、導入は進みません。
そのため、透明性のある情報公開やモニタリング体制、政策による支援が普及には欠かせない要素となっています。
編集担当(法人向け記事)透明性ある情報公開でステークホルダーとの信頼を築く。
編集担当(法人向け記事)世界は実用段階、日本は技術主導で役割を果たす立場。
世界ではすでに商業規模でのCCUS導入が進んでいます。アメリカではシェールガス開発と連動したCO₂利用、ノルウェーでは北海油田を利用した地中貯留といった大規模プロジェクトが代表例です。
これらは国家の気候変動対策の一翼を担い、排出削減目標達成に大きな貢献を果たしています。
中国や中東地域でも、産業規模での実証が行われています。特に石油化学産業との結びつきが強く、産業競争力の維持と脱炭素の両立を目指しています。
各国が国策レベルで支援を打ち出していることから、技術だけでなく政策環境が大きな成否を分けることがわかります。
日本でも、苫小牧での大規模CCS実証試験をはじめとした取り組みが展開されています。ただ、地質条件や国土面積の制約があり、海外に比べて規模拡大が容易ではありません。
そのため、日本独自の強みである高効率技術やCO₂利用技術に重点を置いた研究開発が進められています。
編集担当(法人向け記事)海外動向を参照しつつ、日本独自技術の輸出可能性を探る。
編集担当(法人向け記事)CCUSは「温暖化対策」から「産業基盤」へ進化する技術。
今後のCCUS技術は、単なる「炭素隔離」から「カーボンサイクルの中核」へと位置づけを変えていくでしょう。再生可能エネルギーの普及と組み合わせることで、CO₂を原料とした燃料や資材生産が循環型社会を支える重要な歯車となる可能性があります。特に、グリーン水素との統合は新しい産業体系を形成すると期待されています。
ただし、CCUSは万能ではなく、経済性や規模拡大の難しさといった課題も残っています。大規模導入にはインフラ整備の投資が不可欠であり、政策的なインセンティブや国際協調が強く求められます。環境保護と産業発展をどう両立させるかは世界共通のテーマです。
そして何より、社会的な理解と受容が技術普及に直結します。CCUSは「見えにくい」取り組みであるため、透明性のある説明や長期的な安心感を得られる仕組みが重要です。こうした課題を克服してこそ、真に実効性のある温暖化対策となり得るのです。
CCUS技術は、温暖化を抑制するために不可欠な技術基盤の一つとして世界規模で注目されています。しかし、その実用化と普及には、技術開発だけでなく、経済・政策・社会的要因を含めた包括的な取り組みが必要です。
私たちが目指す脱炭素社会は、技術革新と社会の理解、そして国際的な協調の上に成り立ちます。CCUSはその中で重要な選択肢であり、未来の世代により良い地球環境を残すための大きな手がかりとなるでしょう。
今後の進展次第では、CCUSは「温暖化対策の切り札」から「新しい産業基盤」へと発展し得る技術です。温暖化対策を一歩前へ進める上で、私たち自身の理解と意識が不可欠であることも忘れてはなりません。
編集担当(法人向け記事)短期的には政策支援活用、長期的には循環産業化を視野に投資を検討。
電気代をできるだけ抑えたい方にハルエネでは「市場連動型プラン」をご用意し、市場価格をそのまま反映させ、使用量より料金を算出することで、コスト削減を目指します。
経歴:エネルギー管理士としてビル管理会社に勤務し、省エネ診断や設備改善に従事。照明・空調・再エネ設備の最適化など現場支援を多数経験。
コメント:「現場で培った知識をもとに、すぐに役立つ省エネの実践術をお届けします。」